夜に咲く名前たち 歌詞欄(Lyrics)宵の静寂に ひとり立つ 絽の浴衣に 夜風がくちづけ 誰かの声と 遠くのざわめき 置いてきた日々の 輪郭が滲む ひとつ 牡丹がひらいて まるく 嘘なく 色だけ咲かせる 私もいつか ああなれたなら 静かに笑えたのかしら 夜に咲く 名前たちを 追いかけて 菊のしっぽが 空に消えるたび ほどけた帯を 風が抱いて まだ熱い胸の奥 隠してくれる 冠菊のしずくが そっと降れば 言葉より先に 涙が落ちる 恋でもない 忘れごとでもない この火の花に 名をつけていい? 昇り竜が 駆けてゆく 線香のような 想いの残り火 隣の誰かが 指さした ハートの型が 空にほどける 千輪がふわり 夜に舞って 私の過去を 包んで消える きれいなだけが 全てじゃないと 火薬のにおいが 告げてくれる 夜に咲く 名前たちは みな偽名 だけどひととき 確かに灯る やさしい嘘と まばゆい一秒 それでじゅうぶん それが本当 涙に似た 火のしずくを ひとつ拾って 帯にしまう 誰にも見せない 今夜の私 花火の名前に そっと託して |