どんぶりのなかのあなた 歌詞欄(Lyrics)湯気の中で 震える赤 すくい上げれば とろけるように 優しくて それでいて きりりと刺す わさびの声 大きな丼の上に 重ねられた いくつもの記憶 醤油の雫が 広がれば あの日のこと また思い出す 白いご飯に 寄り添って その赤身は 旨味を溶かす ただの食事じゃなかった それは 私の心の真ん中にいた マグロが 私を沈めていく 一口 また一口 今はもういない あなたを そっと 口の中で 噛みしめる 薄い塩気が 残る唇 なのに 涙の味がした きっと このマグロは 思い出の中に まだ生きてる マグロの下で 何もかもほどけた 想いも言葉も 溶けていく この丼の中に 私は 閉じ込められていたのかもしれない |