アスファルトは海の夢を見るか? 歌詞欄(Lyrics)国道に架かる陸橋の上 深夜3時、誰もいない 通り過ぎるトラックのヘッドライトだけが 雨上がりのアスファルトを舐めていく 黒い路面に浮かんだ 虹色のオイルの染みが アンモナイトの化石みたいに見えた トラックが残したタイヤの跡は 轍に溜まった水は 見たこともない生物が 此処を生きた証みたいだった ねぇ この固くて冷たいコンクリートの下で アスファルトは海の夢を見るか? わたしが立つこの場所が 遥か昔は海の底だったとしたら 光の届かない水の底で 声も持たない魚たちが 息をしてたとしたら その魚たちが見ていた夢は 地上を歩くわたしの姿だったかもしれない 声の出し方を知らないまま 言葉にならず 泡になって消えていく わたしのこの息も 太古の海の呼吸と 繋がっているのかもしれない 光も! 名前も! 声もない! 深海の魚たちの沈黙を! この胸の奥で 聞いている! アスファルトを突き破って! 太古の海の歌が響く! 息を! 息を! 息をさせて! 声にならない声でいい! ここにいる! わたしはここにいる! あの魚たちと同じように! ただ、息をしてる! やがて トラックも通り過ぎて また静かになった 黒い路面はただ、そこに横たわって 夜の光を吸い込んでいた わたしの声は誰にも届かない あの魚たちの声が 誰にも届かなかったように でも、きっと このアスファルトは知っている 海の夢を、見ている |