熱の残像 歌詞欄(Lyrics)風の音がふと変わった気がした アスファルトの匂いも少しだけ違う夜 コンビニの光がやけに滲んで見えた 僕はただ、立ち尽くしていた 君が笑った声の記憶の断片を 何度も何度も頭の中で並べ替える 季節のページの隅に挟んだままの あの約束は、まだ動かないでいた 揺らいだ 揺らいだ 熱の残像だけが 僕のこの体温と混ざって消えないでいる さよなら、と言えないまま夏は終わるのか まだ 僕はここにいるのに 街灯の線が揺れて瞬いた いつもと同じはずの道なのに 蝉の声がやけに遠くに聴こえた 僕だけが、取り残されたようだった 消せないままの写真の日付を 何度も何度も指でなぞってみる 言いたい言葉の重さに潰された あの夏は、まだ動かないでいた 滲んだ 滲んだ 熱の残像だけが 僕の輪郭を曖昧に溶かしていく 「さよなら」が言えなかっただけの夏だったのか まだ 僕はここにいるのに 月は何も知らない顔で僕を見ていた この夜の次には何が待つのだろう 答えなんてないって本当は知ってた ただ季節は変わっていく 変わっていく 消えないで 消えないで 熱の残像の中で 君がさよなら、と最後に笑った気がした もう夏は終わってしまったんだろうな 僕だけがまだここにいるのに 風の音 夏が終わる音 僕はただ、ここにいた |