梅雨入りの掃除〜忘れたはずのぬくもり〜 歌詞欄(Lyrics)[Verse 1] 玄関を開けると、湿った風とともに梅雨の気配が滑り込んできた。 埃を孕んだ空気が許せず、彼女は雑巾を握る。 静かな部屋に響く 雑巾の音がリズムを刻み ひとつひとつ 思い出を拭き取るように こぼれた光が床に踊り 記憶の影を揺らす [Verse 2] 棚の奥、数年前に彼が忘れていった傘を見つけたとき、ふと笑った。 捨てられないものがまた一つ、増えた。 雨の匂いと共に蘇る あの頃の声と温もり 閉ざした扉の向こうで まだ息づいている 手に触れた傘の柄が冷たくて 心は少し震えた [Pre-Chorus] 梅雨空の下 濡れた心をそっと抱いて 過ぎた日々に ひとり話しかける 言葉は風に溶けて 雲間へと消えていくけど [Chorus] 忘れたはずのぬくもりが 風に揺れてほどけて まだ掃除できない想いが 胸の奥に残っている 傘の影に隠した涙が 雨粒に溶けていくように 彼方のあなたへ そっと歌を贈ろう [Verse 3] 雨音が部屋を満たし 時をゆっくり染めていく 窓辺で見つめる空に 小さな虹が架かるよ 彼の残したぬくもりは 消えずにここにあるから 今日も彼女は静かに 心の掃除を続ける 遠くで聞こえる雷鳴が 新しい朝を告げている [Outro] 梅雨の匂いに包まれて また一歩踏み出す彼女 忘れられないものたちを 胸に抱きながら |