焦がすたれ、口づけのしお 歌詞欄(Lyrics)指先が もも肉を裂く 滑らかな熱 唇の奥にひろがる 君の横顔 黒髪にかかる煙 その間(あわい)に ただ黙って舌を絡めた 純米大吟醸 一滴ずつ のどを滑って 心まで潤してく ねぎまに残る 塩の粒 それさえ 今夜はやさしく見えた 肌の上を流れる たれのように 君の声が ゆるやかに落ちてく 私はかわを 焦がすように焼いた 一瞬の熱 それがすべてだった 砂肝は かたいのにやわらかく はつは まっすぐすぎて痛い 君の指先がつくねをほどく 視線が交わるたびに 体温が乱れてく 鍋島の香りが 君を包む 微かに甘い 誘惑のようで ぼんじりが 滴る脂を落とす 私の鼓動も 同じように落ちて 塩がひとつぶ 胸元に跳ねて それをすくった 君の指が熱い タレの甘さは 罪の味 くちびるで 確かめてしまった 焼き網の上で 音を立てる わたしたちの秘密も 今夜焼かれていく 酒の苦さも 舌に残る言葉も 君がいれば ただただ美味しいだけ しおとたれ それだけの選び方で 重ねあった 無言の意味を知る 一夜の夢か それとも真実か 君と私と 焼き鳥と、燗の海 |