見えない日々の勇者 歌詞欄(Lyrics)[Verse 1] 午前五時 目覚ましより早く起きて 冷えた台所でポットに湯を沸かす 朝の薬を並べ 名前を確認する 「これは誰の?」と聞かれて また答える [Verse 2] カーテンを開けると 季節の光が入る でもその人の瞳は どこか遠くを見ている 食卓にスプーンを置いて 口に運ぶたび 「いらない」と手を振る その手を優しく押さえる [Pre-Chorus] ため息を飲み込み 笑顔を作る 「大丈夫だよ」と繰り返しながら 心の奥で 小さな声が叫ぶ ——いつまで続くんだろう、と [Chorus] これは誰にも見えない日々 拍手も栄光もない戦い 少しずつ弱っていく親を ただ支える それが今の自分 [Verse 3] 昼過ぎの居間 同じ話を十回目に聞く 最初の三回は笑えたけれど 五回目からは心がすり減り 十回目でようやく 無言でうなずく [Verse 4] トイレに間に合わず 濡れた衣服を替える 照れたように笑うその顔に 「ありがとう」と返す声は震えて 胸の奥が静かに痛む [Pre-Chorus] 誰かに弱音を吐けたら 少しは軽くなるのに 水道の音と食器の音だけが 一日の記録を刻んでゆく [Chorus] これは修行でもない でも逃げることも許されない 倒れそうな心を抱きながら 今日も歩く それが今の使命 [Bridge] 夜更けに布団をかけ直す 呼吸を確かめて 灯りを消す 時計の針だけが 確かに動き 変わらない日常が また明日を連れてくる [Chorus – Reprise] これは物語ではない でも確かに生きた証になる 名もなき毎日のその背中を 私は勇者と呼びたい [Outro] 静かな闇に ひとりつぶやく 「明日もやれる」 そう信じて 目を閉じる 勇者よ あなたはここにいる |