重井沢溶鉱炉 歌詞欄(Lyrics)[bass solo] 溶けた鉄の雨を吸い込んで 肺が鈍く鳴る 鉄鳴の淵の夜気は 私の喉を焼きつける 灯りは炉の焔(ほのお)だけ 他に救いはない あなたの名を呟けば 火花が頬を斬る 揺らぐ鉄骨の影で 足首まで錆が滲む 「嘆きは歌になる」と 昔あなたは笑った けれど今 私の唄は 煤と嫉妬の檻 凍えた掌(てのひら)で 情念をかき鳴らす ――拍手は遠い幻 ――それでも私は歌う 焔鎖の窪 この胸の重さが 闇を深く沈める 焦げた吐息と涙が 同じ味をしても 灰呻の窟 鍛えた心臓(ハート)は まだ赤く脈打つ 私の喝采は 誰にも届かなくていい 溶鉱炉の底で燃え尽きる日まで 錆びた雨樋が集めた 女たちの溜息 その雫(しずく)が頬を打つたび 未練がまた熱を持つ 恋と嫉妬と怒りを ひとつに溶かし込んで 私は烈火のドレスで 孤独に立ち尽くす ――あなたを呼ぶ声は灰 ――それでも火は消えない 血錆の凛峡 私の情念(おもい)は 鋼より脆く鋭く 指に刺さる硝子の棘(とげ)を 甘い痛みで舐める 錆哭の谷 今夜も喝采は 私だけの檻 嘆きと歌を抱きしめ 灯りを絶やさない 燃え残る灰で 明日を描くまで 息を吐けば 闇に赤い粉が舞う それが私の証―― 錆哭の谷よ 鉄鳴の淵よ 私はここで 燃ゆ。 |