『おでこに口がついてるw』― ばぁちゃん。笑ってたけど、たぶんちょっと泣いてた ― 歌詞欄(Lyrics)わたしは ちょっと ズレてるらしい でも 自分じゃ わからんのよ 思ったことが すぐ 口から出る だから よく まわりが シーンとする 「おでこに 口が ついてる」って 孫が 笑って 言うたことがある わたしは そうかもしれんって 笑いながら ほんとは ちょっと 悲しかった 小さいころ 戦争で 家を出た 樺太から 船で 逃げた 妹は 途中で 死んでしもた 母の腕の中で 冷たくなった あのときから 泣いてる暇は なかった 生きる ただそれだけが わたしの すべてに なった 優しく したいと 思ったこともある でも それよりも早く 生き延びな あかん場面ばかり やった 気づけば 旦那は 狂っていった 子どもは 自分で 自分を守ろうと しとった わたしは わたしで すでに 何かが 壊れてた 子を 四人 産んだけど ほんとは 九人 身ごもった 一人 二人 いつの間にか わたしの中で さよなら していった いまも ときどき 生まれてこなかった声が 夢で わたしを 起こすんよ 口が悪いって よう言われた 人に 恥を かかせるって でも わたしは きっと その口で 叫んでたんやと 思う 「気づいて」 「こわい」 「しんどい」 そういうのを うまく 言えんかったから ありがとう だけは 忘れんように しとる それだけは 何があっても ちゃんと 言おうって 決めとったんよ ええ人生やとは 思わん でも ここまで 生きとる それが わたしの いちばん 強い言葉やと 思う おでこに 口が ついてる それでも わたしは 誰かの ばあちゃんやった 生きてて ごめんね でも 生きてて ありがとう |