アナンシと知恵の壺 歌詞欄(Lyrics)むかしむかし、まだ知らないことばかりの世の中じゃった。 空の神さまニヤメは、せかいじゅうの知恵を壺にしまっておったとさ。 その壺をアナンシというくもにあげたのじゃ。 アナンシは壺の中をのぞきこみ、いろんなことを学んでよろこんだとさ。 けれども、アナンシはこう思ったのじゃ、 「わしだけのものにしたいのう」と。 さてさて、どうなることやら。 壺の中の知恵は みんなでわけあおう それがこの世の かしこさのはじまりじゃ アナンシは壺を長い紐でお腹にまいて、高い木にのぼりはじめたのじゃ。 だが、壺は跳ねてのぼるのがたいへんだったとさ。 そこで若い息子が言ったのじゃ、 「お腹ではなく背中に結べばかんたんじゃぞ」と。 アナンシはその言葉を信じて、 背中に壺を結びつけてのぼると、すぐに木のてっぺんまでのぼれたとさ。 さてさて、どうなることやら。 壺の中の知恵は みんなでわけあおう それがこの世の かしこさのはじまりじゃ 木のてっぺんで、アナンシは思うた。 「わしはすべての知恵を持っておるはずなのに、息子のほうがかしこいとはどういうことじゃ!」 怒りにまかせて、壺を地面に投げてしまったのじゃ。 すると壺がわれて、知恵は地面に降りそそいだとさ。 さてさて、どうなることやら。 壺の中の知恵は みんなでわけあおう それがこの世の かしこさのはじまりじゃ 割れた壺の知恵は、人々にひろがり、 農業も服作りも道具作りも、 みんなが学べるようになったのじゃ。 アナンシの失敗が、みんなの幸せを生み出したとさ。 知恵は分け合うもの、ひとり占めにしてはならぬと教えておるのじゃ。 さてさて、これにてめでたしめでたし。 壺の中の知恵は みんなでわけあおう それがこの世の かしこさのはじまりじゃ。 |