石の上にも三年 歌詞欄(Lyrics)Junia Brutus Copyright © 2025 深々と、雪—— 我が身に積もりて、人の香を消す。 白き肌、石に預けて、息を殺す—— 色も、音も、味も、 うつしよは、遠い夢路。 何を待つにあらず。 何になるための、儀。 この身の器、空ろになるまで—— ちりり… ただ、石の冷たさが沁む。 ゆらり、ゆらり… 水面(みなも)に灯るは、鬼火か、魂か—— 逢魔が刻は、とうに過ぎて。 此処は常夜(とこよ)。 淵の底から、手招く影。 「…おいで」 ああ、それは討つべき仇(あだ)にあらず。 我が血に流るる、哀しき宿業(さだめ)—— 狂おしく咲いて、散りゆくための花。 ちりり、ちりり… 鈴の音(ね)が哭いている—— 鎮めてと、哭いている—— ざん、ざらり… 石が肌を擦る音—— 立て。舞え。我はもはや、人にあらず。 三年(みとせ)の祈りが、我が身を刃とした—— 温もりを知らぬ、氷の神楽。 紅き唇、呪(しゅ)を紡いで、 抜き放つは、骨身の白刃。 ざん、ざん… 切れ、切れ、この縁(えにし)の糸を! (切れ、縁を!) 愛(いと)しさと、憎しみが織りなす、紅き綾を! (紅き綾を!) ゆらり、堕ちてゆく影。 その最期の吐息が、我が頬を撫でる—— ちりり… と一度だけ鳴り、 永劫のしじま。 淵の底にて、共に眠らん—— …しんしん… |