どじょう月夜に、まどろむ鍋 歌詞欄(Lyrics)となりの町で天狗が泣いてる 「おれもいれろ」と鍋をのぞく ごぼうのうねりにとけた月 ほら おつゆの奥で 夢をみてる 土手にすわって おばあが言った 「おまえも煮こまれりゃ いい味出るよ」 ねぎがしんなり笑ったとき ぼくのこころは 七輪だった さよなら 人類 こんにちは どじょう ぬるりと踊れ 江戸のうたげ あつい割り下 しみる人生 くたくたごぼうが やさしくなでる お椀の中に宇宙があって 箸でつまめば 過去がほろり 「煮るか焼くかは おまえしだいさ」 と、どじょうが一匹 ウインクしたよ さよなら 未来 こんにちは だし汁 まわる湯気から あしたが生まれ 山椒ひとふり 命のスパイス しずむどじょうが ぼくを呼んでる ねぇ もしもぼくらが 味噌仕立てなら きっともっと 濃くて苦かったろう だけどいまは このうすあじで あたたかく 満ちてるんだ ありがとう どじょう そして この夜に あぶらの海で 眠る庶民 割り下のなかで 夢を見ながら まどろむ鍋が 歌ってる |